YouTubeチャンネル「どうぶつ奇想天外/WAKUWAKU」。
再生回数第2位の人気動画は、中米コスタリカのグンタイアリ。
公開して1年で300万回を超えました。
密林の中、ザーッという音と共に、アリの超大群が現れました。
黒いじゅうたんの出現です。
キリギリスやトカゲなどに一斉に噛みつき、バラバラに解体し、持ち去ります。
サソリに対しては、お株を奪う毒針攻撃で溶かします。
やがて黒いじゅうたんは木の幹を登り、スズメバチの巣ごと包み込むように襲い、幼虫や蛹を奪います。
行軍は続きます。アリたちは足と足をつなぎ、自分たちの体を使って橋を作り、獲物をくわえたアリたちを渡らせます。
そして巣も、アリたちが体をつないで作ったバスケットなのです。
是非ご覧いただきたい秀作です。
YouTube動画のコメント欄にも感想が寄せられました。
「献身的な動きするのは凄いな」
「1000万匹もいてこの統率力は凄い」
「言葉を持たない虫が共通認識を持って行動するのって凄いな」
私もそう思います。
献身的、統率力、共通認識…
凄すぎます。
グンタイアリの統率力はどこからくるのか?
アリやハチなどの大集団で行動する昆虫を「社会性昆虫」と言います。
番組を始めた頃、社会性昆虫がなぜ、どのようにチームワークをするのか、不思議で仕方がありませんでした。
互いのコミュニケーションをフェロモンでやっているのはわかります。
それにしても、このチームワークは完璧すぎるではないですか。
それに、アリたちはお互いのことをどう思っているのだろう?
先生!よくわかりません!!
そう、千石正一先生に詰め寄りました。
先生は、私たちに言いました。
「あいつらはひとつの群れで、ひとつの個体のようなもの。そう考えた方がわかりやすい。」
解説は続きます。
一般に、女王アリはオスと交尾をすると、一生分の精子を体の中に蓄えます。
その精子を少しずつ使って卵を産み続けるのです。
グンタイアリなら、その数は毎月400万個!
やがて群れは巨大になります。
兵隊アリも働きアリも、群れの全員が1匹の女王アリの娘たち。
1匹の母と無数の姉妹たち。
血縁で結ばれた大群なのです。
なるほど!
説明を聞いて、”もやもや”は解消。
そのスッキリ感をはっきりと覚えています。
人間の体だって、脳やさまざま臓器がホルモンで連絡を取り合いながら、活動しています。
例えば、暗闇でいきなり「襲われる」と感じた時、目から入った情報が脳に伝わり、副腎からストレスホルモンが分泌され、心臓がドキドキしたり手に汗をかいたりします。
脳を介さなくても、内臓同士はいつもホルモンで情報交換をしているそうです。
人間の体のあちこちのパーツが勝手に連携しているのも、考えて見れば、不思議なことですけどね。
アリの1匹1匹に個性があると思うからわからなくなる。
「群れでひとつの体」というイメージを持つと、彼らのさまざまな行動がしっくり感じられるようになります。
家の近所のアリや公園のハチを見る時、私はそういう感覚で観察し、楽しんでいます。
この動画も、そう思って見ると、別の見方ができるかもしれません。
どうぞ、試してみてください。