どうぶつ

TBSでヘビ脱走騒ぎ!そんなに怖いの?

今年も飼われている動物が脱走してワイドショーのネタになりました。

アミメニシキヘビは巻きつかれると厄介なので話題になりました。

ミナミジサイチョウは捕り物の様子が面白く、盛り上がりました。

私たち動物番組のスタッフから見ると、これらは海外のフィールドにわざわざ出掛けて出会う貴重なもの。
捕獲するのはとても大事なことですが、ワイドショーは怖がりすぎじゃなかろうか。
常々私はそう思っています。

ワニガメは大変危険なので早く捕獲されて良かったですが、ミズオオトカゲは爪は鋭いけどそんなに怖い動物ではありません。
怖がりすぎです。

TBS社内で蛇が逃げた!

赤坂のTBS社内でヘビ脱走騒ぎがあったのは、今から10年ほど前のこと。

撮影用に借りていたアカマタという細長〜い無毒のヘビが、箱を開けた途端にスルッと逃げ、電源ケーブルの穴から床下に逃げ込んだのでした。

このヘビは「危険」とは言えません。

私は関係ありませんでしたが、担当のプロデューサーは総務局の担当者にずいぶん厳しく叱られたそうです。
その心労からか、体重120kgあったプロデューサーは痩せてしまいました。

それから2週間後、そのヘビは「アッコにおまかせ」のスタッフに発見されて生還しました。
床下でじっとしていたそうです。

この顛末は少しだけ盛られて、この番組のネタなりました。
「TBSが大パニック!2mの巨大ヘビが脱走、床下に潜む恐怖の2週間」的な…。

スタッフの狙い通りアッコさんはビビりまくり、最後に出川哲朗さんがアッコさんに向かっておもちゃのヘビを投げて、混乱のオチになりました。

私がその録画を見て大笑いしていると、件のプロデューサーは「酷いじゃないですか、トダさんだって昔はずいぶん動物を逃しましたよねえ」と激しく抗議します。

そうでした。

「どうぶつ奇想天外!」はプチ動物園だった

1990年代は鷹揚でした。

「どうぶつ奇想天外!」スタッフルームでは普通に昆虫やカエルなどを水槽で飼育して、生態を撮影していました。

しっかり覆われたはずの水槽から、何故だか、イモリなどが脱走したものでした。

逃げたアルマジロが、「どうぶつ奇想天外!」の隣にある「さんまのからくりTV」のスタッフルームで見つかったこともあります。

「迷子がいますよ」と親切に教えてくれ、プロデューサーからは「どうぶつ奇想天外!らしくて良いですね」と言ってもらいました。

少なくとも、制作局はそんな空気でした。

スタジオ収録に出演した巨大なブタを、スタジオ本番収録後、バラエティ制作部の大部屋に一泊させたこともあります。

大部屋の住民たちは、コントみたいな風景を面白がっていました。

都会のオフィスに、ブタ。

社内の会議室が、サルの棲む森になった

赤坂のTBS放送センター内で撮影した力作は、現在YouTubeチャンネル「どうぶつ奇想天外/WAKUWAKU」で公開されている

「狩りがゆっくりすぎるサル!スローロリスがコオロギを襲う」(1998年放送)です。

制作局内にある会議室を数日間借りっぱなしにし、そこに美術部がボルネオ島のジャングルを再現。

飼育されているスローロリスという呑気なサルを放って、その生態を熱感知カメラなどの特殊機材を使って丁寧に撮影したのです。

スタジオ撮影でしか撮れない興味深い姿が見られることになりました。
特に、スローロリスの二枚舌の不思議な使い方は必見です。

熱感知カメラ映像。鼻は濡れているため、温度が低い。
スローロリスの“二枚舌”(白いギザギザのが二枚目)

ヘビの次は、金魚で騒ぎに・・・

さて、話は戻りますが、先のヘビ脱走騒ぎをきっかけに、TBSの総務局は社内への動物の持ち込みを禁止しました。
持ち込む前に許可申請書を提出しろということです。

それから数日後の事です。

動物特番のスタッフが、金魚の入ったビニール袋を手にぶら下げて社内に入ろうとしたところ、入り口で呼び止められ、集まってきた数人の警備員に取り囲まれて厳しく叱られたそうです。

動物はダメと聞いていたが、金魚までとは思わなかったのでしょう。
怒られたスタッフは憤懣やる方ない様子でした。

でも、決まりは決まり。警備員は悪くありません。

それにしても、一般論としての話ですが、金魚はそこまで「異物」なのでしょうか。

人間以外の動物を「異物」と感じる空気感。

世の中には人間だけしか住んでいないかのような感覚。

ここには、ワイドショーがミズオオトカゲを必要以上に「危険だ!」と言って邪魔者扱いするのと同じ匂いを感じます。

私は、人間の近くに動物がいる方が、良い環境のように感じます。

金魚でも、いないよりはいる方が良いと思うのです。

自然と人間の距離が、これ以上離れて行くことがなければ良いのですが・・・。

(これは、外来生物が国内で繁殖する危険性とは、別の話です。念の為。)